【ツキプロ】 ALIVE SOARA中心夢小説まとめ
第14章 あいあいがさ(大原空)
「あっちゃ〜...」
SOARAの練習が休みな、放課後。珍しく用事があった俺は練習がなくてもなんだかんだ一緒にいるメンバーに先に帰ってもらってひとり学校に残っていた。
ようやく頼まれていた用を終えて帰ろうとしたところ、予報ハズレの土砂降りの雨に当たってしまったところだ。
もちろん、傘なんて持ってない。
家までダッシュかなー、風邪ひかないようにしないと練習出られなくなっちゃうなー、とか。ぽつぽつ考え事をしながらゆっくり靴を履きかえた。そのあいだに少しでも雨がおさまれば、なんて思ったけど、期待するだけ無駄なようで。昇降口前の水たまりは未だかつて無いレベルになっていた。
ぼうっとそれを眺めていたけど、もう覚悟を決めるしかない!カバンを頭の上に抱えて走り出そうとした、その時。
『あの...大原くん?』
「えっ、あ、まひるさん!」
『どうしたの?すごい、なんというか挙動不審だったよ...』
図書委員で大人しいまひるさんに話しかけられた。彼女の手には、鮮やかな青の傘。
「傘を忘れちゃってさ。走って帰ろうかと!」
『この土砂降りの中を...?』
「うっ、まあそうなんだけど...へへ」
自分の不甲斐なさというか情けなさに、頭を抱えたくなった。心なしか、彼女のまゆが下がってる気がする。呆れられてるのか俺。
『...一緒に、入ってく?』
「え?」
信じられない言葉が聞こえた。
一緒に、え?一緒に?
「そ、それってあ、相合傘てきな..?」
『うん、大原くんが嫌でなければ。濡れて帰るより、マシ、かと』
視線を外しながら彼女は告げた。マジか。女神がいる!と叫び出したいのをこらえて、ありがとう、とだけ言った。彼女はふっと安心したように、お互い様だからさ、と言った。