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【ツキプロ】 ALIVE SOARA中心夢小説まとめ

第11章 あなたの隣(大原空)


「はぁ、ごめんまひる、おまたせ!」

『全然待ってないけど』

待ち合わせはここね。じゃ。
シンプルに伝えられたのは、最寄りから数駅先の駅近く。寝起きに近い状態でいた俺は、慌てて身支度を整えて駆け出して行ったんだけど、慌てていて鍵を忘れたり、それを取りに戻る時にスマホを置いてきたりして何だかんだかなり時間がかかってしまった。
待ち合わせ時間は決めていなかったけど、それでも待たせてしまったのは素直に申し訳なかった。
とは言え全く気にしていないようで。

『じゃ、いこう』

「え、あ、うん!」

どこへ?と言う言葉は飲み込んだ。聞いて欲しくなさそうだから。クールで高飛車そうに見えて実は素直でまっすぐなだけだったりする俺の彼女は、いつも迷いがない。一般的な女の子がショートケーキとチョコレートケーキを迷うような優柔不断さは彼女にはないものなんだ。迷わずあんみつで、と即答するだろうし。だから基本的に俺は彼女の考えに口出すことはない。絶対に二人で決めた方がいいこと以外の、例えばデートの行き先だとかは。

『空、あっち』

「...あ!」

駅から15分ほど歩いたところの公園に足を踏み入れる。そこには、満開の桜が咲き乱れていた。小道の両脇に桜、桜。周りに余計な建物がないためもあって、青い空に一直線に薄桃色が伸びていくその光景は、たっぷり10秒は固まってしまうほどに美しかった。

「綺麗、だね。これが見たかったんだ」

『そう。空とお花見デートだよ』

「そっか」

春はたくさんの花や植物が芽吹く季節だ。もっともっと鮮やかな色を湛えた花がこの世にはあるのかもしれない。でも、控えめなのに心を掴んで離さない桜は彼女にとても似ている気がして余計に胸がいっぱいになる。

青空と、桜で視界がいっぱいだなんて。まるで俺とまひるみたいじゃん。

え?と彼女が不思議そうに振り向いた。
思ってたことが口に出ていたようで、俺はハッとして口を抑えた。

「あっ、や、あの今のはね!」

『ふふ、私も』

空と同じ事考えてた。

舞い散る桜。花弁をひとつ捕まえて、ふわり笑った彼女の笑顔が散ってしまうことがないように。ぐっと腕の中に捕まえた。
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