第13章 青い炎
「ジェイクっ!」
アランはジェイクに駆け寄ろうとするが
すぐにヒルトに手を掴まれ、止められる
「大丈夫だよアラン
けど、今はそっとしておいてあげよう」
ヒルトの目線の先には
アドラが身につけていたバンダナを握りしめ、
泣き崩れるジェイクがいた
最初は声を押し殺し、肩を震わせていたが
次第に感情がのった声が静かな砂漠に響き渡る
アドラが延命を拒否した以上、
闇から解放されることでしか救う方法がなかった
頭で理解していても、ジェイクの心が追いつかないのだ
そして、最後アドラにとどめをさす時にきいた
アドラの言葉が心に染み付く
親友と初めて本心で言ってくれた彼は
2度と転生する事はなく、どれだけ時間が過ぎても
同じ魂と巡り合う事はない
だからこそ、ジェイクは止めたくても止まらない涙を流し続ける
ヒルト達は何も語らず
暫く見守っていると
ローランの中から炎の力が浮き上がり、ジェイクの中へ流れていく
それは炎のインドリームの意志がジェイクを認めたということだ
そんな中、ローランとヒルトだけは少年の姿が薄く見えていた
先代の炎のインドリーム、ヒエンだ
「ローランさん、僕は彼を認めるよ
今まで僕の願いを聞き続けてくれて、ありがとう」
霊体となっているヒエンの姿は安らかな笑顔をローランに向ける
「君がそう言うなら行ってくるといい・・
僕こそ、君を救えてよかった。
あの時、ジェイク君に力を奪われた君は瀕死だったが
僕の中に魔力を委ねる事で精神体として延命でき、
インドリームの力を守れると聞いた時は一切の迷いがなかった。
結果として君はジェイク君を見極める事が出来た。
少し心残りはあるけど、彼女ならきっとーーー」
ローランはこちらに歩いてくるアンリに目線を向け、不安気に言葉を止める
「僕が完全に去っても先生なら大丈夫ですよ
そうだよね、ヒルト君」
ヒエンの視線はヒルトに向けられ
ヒルトはすぐに顔を縦に振る
「どういう・・?
僕はインドリームじゃないのにその力を宿していた事で
寿命がもうないはずだ
君と離れることで維持されていた生命力も尽きるはずでは?」
「それについては、ユリエフから説明しますよ」
ヒルトは優しくそう言うと、自信に満ちた表情をヒエンに向ける