第13章 青い炎
「っ!?
今のがアドラの過去だっていうのか?!」
目を見開き、飛び起きたジェイクは今まで夢のように見せられていたアドラの過去から目が覚める
月明かりが円形の窓から入り、壁に掛けられた松明との明かりで今いる部屋が廃れた牢屋だとわかる
「そのようだね」
「!」
錆びれた鉄格子が並ぶ部屋が無数に円状に設置され、その奥から男の声が響き、恐る恐る近づく
そして奥には結界の中で呪符で縛られているローランに目を向ける
「あんた!
大丈夫か?!」
ジェイクは結界の前に駆け寄り、ローランへ声をかける
結界の表面に触れようとした瞬間、強力な電撃が全身に走る
「ちっ、キミの結界かよ」
「聞いてくれ、ジェイク君。
僕も今の夢を見ていた・・・そして僕は君もアドラ君も知らない夢を引き継いでいる」
「どういうことだ?」
鎖と呪符で全身を拘束されていたローランは両目から血を流していたが、ゆっくり体を起こして炎が宿る瞳を見せた
「なっ・・・なんで」
ジェイクは身震いがした
ローランが持っていた瞳の炎はかつて、ヒエンが持っていたものだからだ
インドリームの力を有している者にしか宿らない炎の瞳
強制的に力を奪ったジェイクには手に入らなかった瞳
「この瞳を初めて見たのは、ナバルトがヒエンを追い込み、君が結界の中から引きずり出したあの夜だったね」
「そうだ・・・
けど、なんでお前が持ってるんだ?!
炎のインドリームの力を持ってるわけがない!
あの夜、俺が全て奪ったはずだ!」
頭を抑えながら、ローランから距離をとっていくジェイク
「僕が怖いかい、ジェイク君
それでいい。
この瞳を見て恐怖を感じるなら、まだ君を救える道が残っているということだ・・・」
「俺を救う?
俺は救われてるよ!
救ってやらなくちゃいけないのは、アドラだ!
あいつは俺のせいで犠牲になったし、道を踏み外した!
さっきの過去も見ただろ?
俺はアドラ救わなくちゃいけないんだ!」
「救う?
どうやって救うんだ?
風のインドリームと君が犠牲になれば救われるのか?」
「っ・・それは・・」
「君はいつも、君自身と向き合わずにいる
だから多重人格になっていることが火族の呪いだと勘違いし、掴めるはずの夢も諦めるんだ」