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IN DREAM2

第11章 破滅の鐘




灰色に濁る霧の中、一面黒く染まった水が広がり
足元には人や獣の骨が浮いている

「ここはーーーー?」

ぼやける意識をはっきりとさせるために
右手で頭を抑えながら、クライヴは最後の記憶を呼び起こす

「俺は確か、ヒルト達を守りながら敵と戦い・・それで奇襲にあって・・・」

飛行船の上での激戦とガウンからの攻撃で吹き飛ばされ、そのまま漆黒の闇がクライヴを飲み込んだ事瞬間を思い出す


「ここは敵が作り出した結界か」

霧で覆われる世界一面に広がる黒い水は闇を溶かしたほど濁り
屍や、骨のみ睡蓮の花のように水面に埋め尽くされている

腐った死体から出る毒素と充満した死臭は人間の精神を壊し
クライヴでない者が来た場合、すぐに死につながるだろう
自己再生能力という治癒力が備わり、数多の戦場を駆け巡って来たクライヴにとって
追い詰められることなく余裕を保ちながら状況を整理できた

「まずはここからの脱出が必要だな」


足場の悪い水の中を歩きながら考えている中
一体の人間の死体が流れ着く
漆黒のローブに身を包んだ人骨
頭部から腰にかけて掛かっている甘布には
五つの宝石が埋められており、錆びることもなく輝きを保っている

「ルビー、エメラルド、サファイヤ、ダイヤモンド、シトリン・・
なるほど、こいつは魔術師か。
それもなかなか腕のある奴だったようだな、ちょうどいい。
アーク」

クライヴの呼びかけに応えるように人型の影がどこからから出現し、揺らめきながら死体を見つめるように立つ

「この死体を使え。
第5階級の魔術師であれば、お前が力を使っても簡単に朽ちはしない器になる」

影は死体の中へ吸収さていくと骨に筋肉や繊維、肉から脂肪が付き、1人の別の魔術師の姿へ変えていく


「貴方様の力となるため、私の力を全てお使い下さい」

深淵の海を映したように深みのある藍色の髪を右斜めに掻き分け、赤い瞳を光らせて頭を下げる
死体となって結界をさまよっていた魔術師に憑依し
新たな肉体を得て主人と言葉を交わすことができたアークは
深呼吸をしていく

「・・・このような下賎な空間に貴方様を閉じ込めた愚か者を
すぐに抹殺する許可をいただけませんでしょうか
このアークが数百の魔術を屈指して苦痛を味合わせながら」
「アーク。
いずれは抹殺の許可をやる・・が、今は他に必要性を感じてお前を呼び出した」
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