第10章 生命の源
「ありがとうございます、クライヴ君
ですが本当に休めばこのくらいーーー」
「堕天使が現れてもか?」
「え?」
「堕天使アルトリアが現れても、万全の体制で迎え打てると言えるのか?」
「それは・・・」
冷たく言い放つクライヴの言葉には
どこかしら棘があり、心に闇を持たないユリエフにとって感じ取りやすいものだった
「どうしたんだよクライヴ
そんかきつく言わなくてもいいだろ」
「・・・ヒルト、お前も仲間を思うなら寄り添うだけじゃなく
そいつのためになる事を言ってやれ
それがリーダーというものだろ」
「それは・・そうだけど・・
だけど怪我人にかける言葉は“外に出歩くな”じゃなくて
“外に出歩けるようになるまで、力になる”だろ」
「はぁー・・・」
力が抜き取れたように深くため息をし
顔を手で抑える
「クライヴ君こそ、何か言いたいならはっきりとおっしゃって下さい
遠回しな言い方はかえって伝わりにくいです」
「ーーーそうか、なら単刀直入に言う
敵がこちらに向かっている
南から5キロ離れた場所から10体の魔族と
北から8キロ離れた場所から30体の魔族だ」
「?!」
「どれも雑魚だが、飛行船を守りながら戦うとなると
動ける人数は限られている
ユリエフはここに残り、状況によって飛行船を動かせ」
「あ、はい」
「ちょっと待ってよクライヴ!」
「なんだアラン」
「あんたどこからそんな情報がわかるの?!」
「・・馬鹿にしてるのか?
俺は闇堕ちだぞ
同じ系統の奴らが近づいてくる気配なんて
10キロ以内なら察知できる」
「へ、へー」
「クライヴ、この事ライセイやイリヤ、ジェイクには?!」
「まだだ。
魔族がこちらに向かっている速度が遅い分
お前達に伝え、ユリエフに念押ししてから伝えても遅くはない」
「とりあえず、みんなに伝えよう
ユリエフはここで待っててくれ!」
「わかりました」
寝室を出て行くヒルト、クライヴ、アランを見つめ
腰までかかっていた毛布を強く握り
震える手をなんとか紛らわせて見送ったユリエフ
「・・共に戦えない
それが、こんか恐怖につながるなんて
思っていませんでした
どうか、皆さんご無事でいてくださいーーーーー」