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IN DREAM2

第8章 監獄と闇の騎士




ハッキリと伝えるヒルト
その目に偽りや迷いはない

「だけど、その痛みを分かち合うことはできる
その為に俺達はここに来たんだ」
「!」

「俺がクライヴの事を友だと言ったことは、飾りじゃない。
喜びも、痛みも、悲しみも分かち合う為の友だろ」
「・・・」
「一人で抱えるなよ」


大剣を地面に突き刺し、ヒルトは丸腰でクライヴに近づいていく

だが、クライヴは闇の炎をヒルトに向かって投げ飛ばし
間一髪のところで避けるヒルト

炎は後方のサルナス達をすり抜け、消える

確実にヒルトだけを殺す為に放たれたものだった


「ヒルト・・お前はさっき、俺に言ったな
今の判断が正しいのか、と」
「あぁ。」
「それはお前もだ!
監獄に来た段階で、お前の判断力も狂気に触れている
俺をここで止めることが、最善の方法と言えるか?」

「わからない
けど、俺は俺の夢を忘れたわけじゃない」
「夢・・?」

「クライヴと、他の仲間達で世界を旅し、世界を救うことだ」


微笑んだ表情で話すヒルト

その表情にクライヴは一瞬でも言葉を失う
だが、腹わたが煮えくり返るような感情が湧いて来た

何を笑っているのか
何故ここまで自身をもって言えるのか
痛みを分かち合うことなど、出来るはずがないのに
どうやってそれをすると宣言しているのか

怒りという負の感情は更に赤い蝶の呪いを浸食させ
クライヴの左頬の蝶の刺青は呪いの増幅に反応し、大きくなってなっていく

顔の半分を覆い尽くし、覆われた部分の耳は尖り、クライヴを闇族の姿へ変えようとしている

そのままクライヴはヒルトへ近づき、首元のマントを掴み、無理矢理引き寄せるようにする

「ーーー闇よ、俺に力を。」

「!」

目の前にいるヒルトの目前に闇の球体を作り出し
そこからは黒い炎や雷が発生していく

「お前がいると、俺は俺の夢を叶えることができない」
「クラ」


憎しみに満ち、闇に堕ちていくクライヴの表情を最後に
ヒルトの目の前で巨大な爆発が起きた

爆風と魔力の発散の影響で煙が立ち上がり
反射的に目を隠すように防ぐサルナスとラルザ

爆発の後から燃える炎

直撃したヒルトは跡形もなく死んでしまったと、誰が見ても思っただろう
だが、ヒルトの周りには魔法の結界が作られ、無傷の状態でその場で膝をついているヒルト

「ユリエフ、助かったぜ!」


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