第3章 ペットとセックスできますか
伊豆くんは、脳天をぶっ叩かれたような顔をした。
「桃浜は、オレのことが好きじゃなかったのか…?あんなにかわいいって言ってくれたのに…毎日抱きしめてくれたのに…」
「そ、それは、パンダとしてのキミであって」
「オレは桃浜のことをかわいいし好きだと思ってるぞ」
ギュウと強く抱きしめられた。
熱い感覚。思わず肌が震えた。
「あっ…ちょ…」
「桃浜はかわいいなあ。触り心地もいい。つるつるしている」
私が普段彼をなでるのと同じように、彼は私を柔らかくなで上げた。
「んっ…」
頭を、肩を、腰を、脚を。するすると撫でられているうちに、私の中にも何かがこみ上げてきた。
長く野生で暮らしてきたせいか伊豆くんの腕はとても逞しく、私の体をガッチリと掴まえて離さない。
「かわいい。本当に」
「ん、う…」
彼の声が耳に甘く響く。
下半身の疼きを感じた。
彼を拒まなきゃいけない理由って、なんだっけ。
彼に抱かれることで何か不都合ってある?
前の彼氏と別れて2年。別に誰を裏切るわけでもない。
「バター犬…みたいなものか…」
「ん?何か言ったか桃浜」
「ううん、何でもない」
私は伊豆くんの頬を両手でつつみ、彼とまっすぐに目を合わせた。
「いいよ。キミとセックスしてあげる。でもね…人間には人間のやり方があるの。私の言うとおりにするって約束しなさい。いい?」
伊豆くんはパッと顔を輝かせた。
「ああ、約束する!」
まったく、従順でよいペットだ。