第5章 ⇒OURNAME(後)【明智光秀】【R18】
新宿駅の目の前の1LDK、書類がなければ何もないに近しい部屋。
カチカチと無機質に響く時計の秒針。
光秀さんに出会った日から何度となく座ったダイニングテーブルの椅子に座って
ただただ秒針を眺めながら光秀さんを待っていた。
≪情報漏洩ってどういうことだろう……
本当に光秀さん、そんなことしたのかな。≫
≪いや、そんなことはないはず。≫
≪でも、本当に逮捕されちゃったらどうしよう。≫
≪いや、でも役所が開いている間に帰ってくるって言ってたし……≫
午前中はとにかくこれだけが頭の中をループした。
いや、午後に入ってもしばらくそうだったかもしれない。
しかし、ふとした瞬間に“あること”に気がついた。
≪あれ、本当に大変なことだったら
あの人たちじゃなくて、警察官が来るはずだよね。≫
その推論が間違っているかもしれないと思って一応検索するが
基本的に機密情報を漏洩して逮捕される場合は、
被害を受けた会社が告訴して被疑者の身柄を拘束するらしい。
≪しかもあの人たち“社長”って言ってたし……≫
そのことに気づいたとたん今度は別の不安が圧し掛かる。
≪光秀さん、大丈夫かな≫