第4章 ⇒OURNAME(前)【明智光秀】【R18】
「……ところでなぜそんなに遠くにいる?」
ひととおりことが終わって自分の部屋より多少狭いシングルベッドで二人で横になっているが、さきほどからベッドの隅で丸まっている梨沙に問いかける。
恥ずかしいとかそういったことだろう、と予想していたが返ってきたのは少々意外な答えだった。
「いえ……光秀さんのお家のベッドってセミダブルだったので、私が隅にいないと狭いかなと思って……」
「こうすれば同じだろう……全くお前は本当に……世話の焼ける娘だな」
抱き寄せながら言うが本当は違う。
≪お前は本当に、俺の想像を時として容易く超えてくる娘だな。≫
「あ、今ちょっとなんか違うこと言おうとしてませんでした?……」
「ほう、意外と勘がいいようだな。
そんなに気になるなら、先ほどキスした場所でも思い出すんだな。」
「へっ?……」
「首席ならわかるだろう?」
「やっぱり意地悪……」
瞼へのキスは、“憧れ”
そして手の甲へのキスは”敬愛”
もちろん直接的な好意もあるが、俺がお前に持っている感情はそちらに近い。
”結婚生活を円滑に送るためには互いを尊敬する気持ちが必要不可欠です”
そんな陳腐なフレーズは耳に胼胝ができるほど聞いたことがあるが、あながち間違いではないかもしれないな。
「まるで見当がつかない」といった様子の梨沙の髪を撫でて彼女を寝かしつけると、自分も穏やかな眠りに落ちていった。
----OURNAME(前)FIN**