第1章 Happy Birthday
その言葉と行動に、顔に熱が集まってしまい、千歳の顔が見られない。
何を喋ったら良いのか分からなくなって、私は思いついたことを適当に口走る。
「な、なんで今日は朝から練習に?」
「さっきも話した通りたい。理由があるから来たと。今日何の日か忘れとうわけじゃなかとね?」
「え………」
「誕生日おめでとう。」
気まぐれで自由な人だから、祝ってもらうことはおろか誕生日当日に会うことすら叶わないかもと思っていた。
そんな千歳が、覚えてくれていた。
そして、お祝いの言葉を言うために会いに来てくれた。
やっぱり特別な日。
覚えてもらっていなくても、たまたまいるんじゃないかと期待して入った部室に案の定彼の姿はなく。
そうだよね、と自分に言い聞かせて前をむこうとした矢先に姿を現す。
千歳といると、千歳に恋をしていると、気持ちの浮き沈みが激しい。
私はあなたが好きだから、やっぱりあなたが居ないと寂しいの。
でも、気まぐれで一所に留まっていられなくて、いつもフラフラしているあなたも好きだから、矛盾してるけどそのまま千歳らしくいてほしい。