第1章 Happy Birthday
「「「誕生日おめでとさーん!!!」」」
「うわあっ!!」
部室のドアを開けたと同時。
部員による私へのお祝いの言葉が溢れた。
目の前には笑顔の見慣れたメンバー。
驚きから始まった誕生日の朝。
だけど、一番お祝いしてほしかった相手は、案の定そこにはいなかった。
いつも他人のことを心配して世話を焼いてばかりいる白石は、私の心の奥の落胆を見て取ったのか、申し訳なさそうに言う。
「すまんなあ。千歳おらんくて。」
「えっ、そんな!白石のせいじゃないもん、謝らないで!皆に祝ってもらえて嬉しいよ!!ありがとうみんな。」
「……だいたい千歳先輩が朝練から出てきたら空から槍ふりますわ」
「槍?!!財前、千歳って予言だけじゃのうてそんなこともできるんか!??今度会うたら槍見せてもらわんと!!」
「金ちゃんそれは言葉のあややて…」
金ちゃんのフォローに入る白石を見ていたら、何だかいつも通りすぎて笑えてきてしまう。
誕生日を皆が覚えてくれていて、おめでとうと言ってくれる。
これだけで、自分はなんて幸せなんだろうという気持ちでいっぱいになる。
「誕生日プレゼントに、特別に俺のイグアナ触らしたる券やるで。」
「やだっ謙也くんそれってデート誘っとるん?!!ロックオンしとるん!??いきなり部屋はやらしいで!」
「なっ?!!何を言うんや小春!俺は別にそないなつもりは無うて…!!」
「謙也さん顔真っ赤っすわ。分かりやすい人やなあ……」