The night dream of fairy【気象系BL
第12章 無償の愛
光一と雅紀が去ったあと
静かな空気が流れていた。
「…さとし!!」
和也が声を掛けるが
智は動く様子はなく
その声が、静かな空間に響いていた。
急に怖くなり
その場から一歩も動けなくなってしまった。
不意に後ろから暖かい手が和也を包んだ。
「和也大丈夫だよ。
俺達が付いてるから」
横を見ると二人かいて、
優しい眼差しで見つめてくれた。
一度大きく深呼吸をすると
智の所へ走って行った。
ベットを覗き込むと
そこには穏やかな顔で眠る智がいた。
「さとし…大丈夫ですか?
さとし…起きて
お願い起きて下さい!!」
智を激しく揺さぶるが
目を開ける事はなかった。
「……さとし?
私ですよ……
カズですよ……」
和也は智に覆いかぶさるように
唇にそっとキスをした。
「さ…とし…グスッ…うッ
さとしーーー起きてください!!!」
和也の目から絶え間なく涙が流れ出て
智の顔の上に降り注いでいた。
まるで、智も泣いているかのように見えた。
そして……
智の耳には
和也が付けてあげた、
青色のピアスはなく
智の手にしっかり握られていた。