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The night dream of fairy【気象系BL

第9章 潤の贖罪


俺は、人間の犯罪の記憶を完全に消して

偽りの記憶を埋め込んでしまった。

光一「よくやったなぁ~!!

潤お前はもう、俺達組織の一員だ!

これからは共に闇で生きよう!」


俺はしばらくは、光一の言葉は頭から離れられなかった。

でも、ここで生きて行くには仕方がないと

自分に言い聞かせた・・・・。


それからの仕事は、

認知症で記憶を無くした年寄りの記憶を呼び起こし

楽しい時間を与えてあげた事もあった…。

その時は、俺の力も悪くないって思った。
 

けどやっぱり、悪い事に使われる事が多かった。

相変わらず、犯罪者の目撃情報を消したり

誘拐してきた子供の記憶を消して、違う子の記憶と入れ替えたり・・

俺の手によって 苦しむ人を沢山作ってしまった。

この手は、どんどん黒く汚れていった。

もう光の中にも、あの家には帰れない

俺は完全に闇に落ちていった。

何が正しくて、何が間違っているのか、あまり考えないようにしていた。


それから月日が経っていき、仕事をする事への抵抗は全く無くなっていた。

闇の世界が居心地がいいと思うようになっていた。



そんなある日・・・

光一はあいつを俺に紹介してきた。

俺はそいつの顔を見てすぐに

昔、光一の部屋で逢った事があるのを思いだした。

でも、その姿は昔と変わらず 生きる気力を感じられなかった。


そいつは俺に

「自分は最愛の人を目の前で死んだ・・・

 今までの記憶を全て消して欲しい・・・

全てリセットして欲しい・・」って言ってきた。


でも出来なかった。

俺は、お前が 泣きながら訴えている隣で

愛おしそうに ジッと見つめている奴が 居ることに気づいてしまったから

記憶を全て消す事は、そいつの事までも 全て忘れてしまう・・・


俺は、そいつの事を思うと記憶を消す事は出来なかった。


光一もその事については何にも言わなかった。


今思えば、あの時 記憶を全てリセットしてしまった方が、

お前達にとって 幸せだったのかもしれない。

光一と俺の力で、家族の記憶を消し、偽りの記憶に入れ替えてやった方が良かったのかもしれない。


だけど・・・

俺は気づいて欲しかった

すぐそばに 自分の姿を闇に染めてまで お前を愛してくれている奴がいる事に…
  

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