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幸せは君と【文スト】

第11章 取り戻せ






敦は目を丸くするが、それは国木田たちも同じだった。


「どういうことですか」


「先ず、私と菜生が知り合ったのは5年前。マフィアを抜ける1年前の事だ」


「それより前は、菜生は組合にいたんだ。面倒だから長い説明は本人に聞いて欲しいけど、簡単に云っちゃえば、両親に捨てられたのを拾って貰ったんだよ」


「…」


「フランシスはね、敦君に高額を掛けていたけど、それよりも菜生が帰って来るならと思ったんだと思うよ。菜生のこと、溺愛していたみたいだから」


この時、太宰の目が恐ろしい程に冷たくなったことには気がつかなかったことにしておく。


一気に社内の気温が下がるが、そこで話を止める乱歩ではないし、手掛かりになればと他の社員は必死で耳を傾ける。


「今、フランシスは幸せなんじゃないかな?長年思ってきた女性が、自らの意志で隣に戻ってきたんだか…「今菜生は何処にいるんですか?」…まぁ焦らないでよ、太宰」


尚も話を続けようとする乱歩を、太宰の恐ろしく冷たい視線が射抜く。


乱歩は観念したようだった。


「分かったよ、相変わらず君は菜生のことになると人が変わるよね…菜生たちは今、北米…つまり本拠地にいるよ。菜生はフランシスの部屋から出ていない筈さ」





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