第3章 3 そして平常の音色を
「わあ何々これって事情聴取?
俺初めてだ!」
『寧ろ初めてじゃないとおかしいところだよ』
「もーユーマは意地悪なこと言わないの!」
「あのさ君達。
君達って人の話を聞かないとかいわれたことあるよね?」
「近藤クンは人の話聞きません」
『何他人行儀に僕を売ろうとしてるの』
「……ほう…」
警官は何かを思い出すような表情で左顔の目から顎までのラインを撫でている。
癖なのだろうか?
『どうしたんですか?』
僕が声を掛けると、警官は二、三度瞬きをして、一瞬僕を見た。
いや、見たというより、まるで観察をしているかのような目で、ほんの一瞬。
僕をなめ回すように見た。
「いや。
ははは……私はツイてるなぁと思ってさ。」
『ツイてる?』
「いやいや、君には……あまり、関係の無い話だよ。」
警官は軽く手を振る。