第3章 3 そして平常の音色を
「ちょっと。そこの二人組」
背後から、聞いたことの無い男の声がした。
透き通った耳に残る声だ。
「ふぁ?」
『え?』
僕と恋滋は同時に声をあげ、後ろへと振り返った。
そこに立っていたのは
妙に目に焼き付く´警官´だった。
肩にかかる程度の銀髪を後ろで結わえ、
まるで雪のように白く、それでいて病的には感じられない肌、
両眼に称える、宝石のルビーのような、ガラス玉のように透き通った瞳、
フランス人形のように端正な顔立ちは、まるで女のようにも見えた。
そして、
このような場所にいることに、とんでもなく違和感を発している。
「お巡りさんこんにちわおはようございますいってきます」
妙な沈黙のあと、恋滋が叩かれたように走り出す。
「まってまって。
別に捕まえようとしてるわけじゃないんだからそんな、逃げないでよ」
「ま、まじですか」
恋滋は10メートル程離れた場所から、電信柱を盾にしてこちらに向かって叫ぶ。
「うん。だから逃げないでよ君。
こっち来なさい」
『え?恋滋はそんな警官から逃げるような悪事を働いたの?』
「やめて!俺を売らないで!」
「あはは。
少し話を聞きたいだけだからさ。」
警官は、懐から電子パネルのような物を取り出した。