第6章 質疑応答
しばらく抱きしめていると、ふとキョウカさんの重みが増した気がした。
顔を覗いてみれば、涙で濡れる睫毛と共に瞼が閉じられ、ゆっくり穏やかに呼吸を繰り返した。
「おやすみなさい」
膝裏に手を回し、抱き上げるとベッドに優しく寝かせた。
布団を掛け、その小さな頭を撫でる。
「...俺は、あなたを残して死んだりしません」
額にソッとキスを落とした。
寝顔を確認すると、俺もベッドの横に腰掛け、瞼を閉じた。
徐々に襲って来る睡魔に身を任せると、すぐに眠りにつくことが出来た。
眠りについてから数時間が経った頃。
妙な息苦しさに目を覚ました。
「ん...?」
自分の胸元を見れば、なぜか布団で寝ていた筈のキョウカさんが抱き着くようにして寝ている。
寝惚けて布団の中入っちまったか?
眠い目を擦り、頭を回す。
いや、俺は床のままだ。
キョウカさんが移動して来たんだ。
「こんなところで寝てたら風邪ひきますよ」
声を掛けるが、起きる気配はねぇ。
しょうがねぇ...運ぶか。
また膝裏に手を回し、抱き上げるとベッドに寝かせた。
「だめ...離れちゃや」
寝惚けているのか、離れようとする俺に必死に手を伸ばすキョウカさん。
目が開いてる様子はねぇし、無意識なのか?
伸ばされた手を軽く握ってみると、強く握り返された。