第6章 質疑応答
「はい。
超大型巨人が扉を蹴破った時に飛んだ瓦礫で家が潰され、母は逃げ遅れて...俺達の見ている目の前で巨人に食われました」
「...そうだったの...。
辛いこと聞いちゃってごめんなさい」
「いえ、もう慣れたんで」
訓練兵団に入ってから幾度となく尋ねられた。
「その雫のペンダントって、誰かからのプレゼントですか?」
「え...」
兵長とかか?
兵長がプレゼントするイメージつかねぇけど。
「いつもつけてるので、大事なものなのかな...と。
キョウカさん...?」
目を大きく開き、表情を固まらせたキョウカさん。
聞いちゃまずいことだったのか?
「え?あ、これね...」
今も尚キョウカさんの胸元で輝くそれを手に取り、愛おしそうに見つめた。
「形見なの」
「形見...ですか?
お母さんとかの...」
「ううん、母じゃない。
恋人の形見」
恋人。
キョウカさんの口から出た言葉に胸がツキリと痛む。
「亡くなったんですか...?」
「うん。
第40回の壁外調査でね。
私の目の前で巨人の口に収まったの。
一瞬だったわ」
俯いていたキョウカさんは一呼吸置くと、再び口を開いた。
「リヴァイが取り戻してくれたの」
「その人とは...付き合って長かったんですか?」
あんまり聞くと傷を抉るか?
でも知りてぇ。
「結婚を3日後に控えていたの」
結婚.....。
その言葉が重く俺の心にのしかかる。