第15章 審議の末に
「あの......」
「ん?」
立ち止まってどうしたの、と脚を止めてくれた。
「後ろ向いててください」
「良いけど...」
キョトンと目を丸くしたまま背中を向けた。
人気の少ないとはいえ、ここは外だ。
いつ誰が通ってもおかしくない。
色んな緊張が相まって手が震える。
チャリ...と小さな金属音がする。
「これ...」
音と重み、感触を感じたキョウカさんが勢い良く振り返った。
「ば、ばかっ...今こっち見んなよ...」
ぜってー顔真っ赤だし、情けない顔してる。
「貰って良いの...?」
「もちろんです。
あなたに貰って欲しいんですから」
「ありがとう...!」
首元に提げられたそれを手で包み、嬉しそうに頬を緩めた。
キョウカさんにプレゼントしたのは、ペアリング。
俺と色違いのものだ。
でもリングは何かと邪魔になりがちだから、それにチャームをつけて貰った。
「エレン」
「はい?」
「大好きっ」
ギュッと抱きしめられ、花の香りがした。
「喜んで貰えたなら良かったです」
嫌がられねぇかって凄く心配だった。
「大切にするね」
「はい」
あなたに一目惚れしてから、早数ヶ月。
キョウカさん以外を見たことはねぇ。
色々あったし、傷ついたりもしたけどやっぱりあんたが好きなんだよ。
だから俺と.........。
終わり。
オマケに続きます。