第13章 任務前夜
立体機動装置で木に登ると、枝にぶら下がった。
「危ないですよー」
「ん?大丈夫!」
グッと片手を離し、拳を握った。
だから危ねぇって、落ちたらどうすんだ!?
心配する俺をよそに、いつもと変わらぬ顔で懸垂を始めた。
立体機動装置を身につけたまま懸垂って、マジかよ...。
キツそうな顔をすることなく、最初からペースが劣らない。
「っと...」
懸垂を終えると、そのままスタッと飛び降りた。
「お疲れ様です」
「ううん、まだやるよ」
「あ...そうですか...」
これまた立体機動装置を身につけたまま、腕立て伏せを始める。
動きに合わせてカシャン、カシャンと立体機動装置が音を鳴らす。
「俺も付き合いますよ」
キョウカさんの横で腕立てを始めた。
「っ...」
なんだこれ、身体が重てぇ...。
「慣れないと辛いでしょ」
「は、はい...」
プルプルと腕が震える。
「立体機動装置は壁外調査では不可欠な存在だからね。
その重みや大きさに慣れておいた方が良いと個人的に思ってるの。
それに普通に訓練するよりも負荷が掛かって鍛えられるでしょ?」
「そう...ですね」
なんでこの人こんな余裕そうな顔をしてるんだ...!
「っだぁ...」
ガシャン、と音を立てて崩れる。
俺の方があとに始めたのに、先に終わるなんて...。
「疲れた?」
流れる汗をタオルで拭いながら尋ねる。
「...はい」
なんだか情けねぇ。