第11章 噂の行方
「...リヴァイは恋したことないの?」
「あ?」
クソメガネでも聞いて来なかったことを、今こいつは聞きやがった。
「リヴァイももう30でしょ?
今まで生きてて、色々経験してる訳じゃない。
恋の1つや2つしてるでしょ?
どうだったの?」
「......誰が言うか」
「ケチ」
「ムダ口叩いてる暇があったら帰ってさっさと寝ろ。
寝不足でぶっ倒れるぞ」
「それ、リヴァイに言われたくない」
と、笑う。
「煩ェ。
俺はこういう体質だ」
俺は育った環境からか、短時間睡眠で事足りる上眠りが浅ェ。
些細な物音で目を覚ます。
「それじゃあおやすみ」
「あぁ」
リヴァイの部屋を出て、執務室へと戻る。
最近、兵舎内で賑わっている噂。
私とリヴァイが恋仲である。
「バカバカしい...」
誰がそんなことを言いふらしてるのか。
根拠もない噂に泳がされること程滑稽なことはない。
矛先がエレンに向かないようにしないとね。
私は大丈夫だけど、どんな拍子でエレンに刃が向かうか分からない。
だからリヴァイに協力して貰って、噂が収まるまで少し距離を置くことにした。
「さて...と」
仕事って言ってもそこまで溜まってる訳じゃないし...。
仕事がなければやることはないけど、帰る訳にもいかなくて部屋にある本に手を伸ばす。
「...全部読破しちゃったんだよな」