第10章 劣情
結局その日は、嫉妬と欲望に任せてキョウカさんを抱いた。
身体を思いやってやる余裕なんて全くなかった。
「エレンのバカ......」
「はい...」
終わってから自分のしたことに気づく。
「嫌じゃなかったし、気持ち良かったけど...やり過ぎ」
フローリングの上でタオルにくるまり、ジトリと俺を睨むキョウカさん。
「腰痛い、入口痛い、背中痛い、喉痛い、身体中汗でベタベタする」
キョウカさんの口から一気に不満が漏れる。
「お風呂まで運びます」
「もうしないからね!」
プクッと頬を膨らます。
「分かってます」
流石にもう頭が冷えた。
「怒ってますよね...?」
キョウカさんの言葉を無視して抱き続けたんだ。
平手打ちの1発ぐらい覚悟してる。
「......怒ってる、すっごく」
「すいません...」
顔が逸らされ、その表情は見えねぇ。
「...だから、寝る時ギュッてして寝てくれたら、許してあげる」
「へ?」
「してくれなきゃ許さない。
あと、またエッチなことしようとしても許さない」
「喜んで!」
抱きしめながら眠るなんて、むしろこっちが頼みてぇぐらいだ。
「じゃあお風呂連れてって?」
「はい」
膝裏に手を回し、持ち上げると風呂場まで運んだ。
「1人で入れる、ありがとう」