第9章 団員名簿
「これは結構上手く出来たんじゃねぇか?」
味見をしときたかったけど、やめておいた。
食う分が減っちまう。
「ありがとう、キョウカ。
助かったよ!」
「どう致しまして」
ハンジの手伝いを終わらせた。
手伝いと言っても、壁外調査に持っていくガス管の整備と補充だけ。
「ところで、エレンがさっき部屋に来てたけど良いのかい?」
エレン?
「あぁ、うん、大丈夫」
エレンも待ってるし、早く仕事を片づけよう。
ハンジと別れ、団長の執務室の戸を叩く。
「相変わらず仕事の虫ですね、団長」
「...キョウカ、敬語をやめてくれ。
ここには君と俺しか居ない」
苦い顔をされた。
「ごめん。
紅茶淹れるね」
「あぁ」
給湯室を借り、紅茶を淹れる。
「はい」
「ありがとう」
少しだけ砂糖を入れた。
「今日は少し甘いな」
「分かった?
疲労回復には適度な糖分だと思って」
「それはキョウカの話だろう?
今日はこの書類を請け負ってくれないか?
一山で良い」
一山、と言ってもその山は高い。
高い上に3つ並んでいる。
相変わらず団長職は仕事が多い。
「分かった。
頑張り過ぎないでね、エルヴィン。
そこの机借りるわ」
「ここが頑張りどころだよ。
あぁ、好きに使うと良い」
机に座り、書類一山を置いた。
予想以上に多い書類に、心の中でソッと溜め息を吐いた。
今日は帰れないかもしれないね...。