第8章 権力者
「俺に嫉妬心を向けるな、面倒くせェ」
兵長からキョウカさんの花の香りがして、またモヤモヤした。
嫉妬するななんて、到底無理だ。
「あぁ、あとエレン」
「はい?」
今度はなんだ?
「今日からお前キョウの部屋で寝ろ」
「はい!?」
今なんて言った!?
俺の聞き間違いか?
ついに都合の良い様に聞こえるようになっちまったか?
「1回で聞き取れ。
許可が降りた、今日からキョウの部屋で暮らせ」
「!ありがとうございますっ」
叶った...!
これでキョウカさんと1つ屋根の下だ。
「それと明日、キョウの書類を手伝うことになった。
エレンも来い」
「書類...ですか。
俺じゃ大して役に立てませんよ?」
「何事も経験だとよ」
「明日なんの書類やるんですか?
キョウカさんが書類を溜めてるところなんて見ないですけど...」
いつ行っても机の上に、手伝いが必要な程に書類が溜まってるのを見たことがねぇ。
「月に1度、団員の名簿をまとめるんだよ。
そいつの名前から、班、怪我、または死亡記録を書類にする仕事だ」
「そんなことやってたんですか...」
「じゃないと団員を把握出来ねェだろ」
「それもそうですけど...」
「とにかく、明日はキョウを手伝え。
これは命令だ、逆らうことは許さねェ」
「分かりました」
キョウカさんと仕事を出来る機会なんて早々ねぇ。