第6章 Accident…
「お前ら…っ…!」
今にも飛びかかる勢いで駆け出した俺を、来るなと言わんばかりに首を振る。
でも一度火が着いてしまった怒りの感情は、どうしたって止めることは出来なくて…
「大丈夫か?」
男共を押し退け、ニノに駆け寄った俺は、所々黒く染まった黄色い浴衣のニノを抱き起こし、力なく立ち上がったニノの手を握った。
「帰るぞ」
どうせ出禁になったことへの腹いせだろう…
そう思った俺は、ニノの手を引いた。
でも、
「ちょっと待てや…」
一歩を踏み出した所で、男達が俺達の前に立ちはだかった。
「どけよ…」
俺達よりも随分とガタイの良い男達の威嚇に、内心ビビりながらも、俺は負けじと睨みをきかす。
「どけって…」
「悪いけどそれは出来ない相談だな」
一人の男が、俺達を見下ろす視線を不気味に歪ませる。
「俺らソイツに用事があんだわ。な、ニノちゃん?」
「ニノ…に…?」
腹いせ…じゃないってこと…なのか?
俺の背中に張り付き、カタカタと震えるニノを振り返った。
一瞬目が合ったニノは、酷く怯えた顔をしていて…
どちらにしても、ここにニノ一人を残して行くことは危険だと判断した俺は、手を繋いだままのニノを後ろに追いやり、スっと息を吸い込んだ。
「ニノに何の用があるか知んねぇけど、また今度にしてくれ…」
そろそろ翔達も仕事を終える頃だ。
もし約束の場所に俺達が行かなければ、また翔に心配をかけることになる。
ただでさえ翔には心配と迷惑のかけ通しで、申し訳なさすら感じているのに…
なのに…
「聞けないね。またコイツに逃げられちゃ堪んないからさ…。それとも、アンタがコイツの代わりになる、って言うなら話は別にだけどね、NO.1の智さん?」
ニノの代わり…俺が?
「どういう意味だ…」
無けなしの脳みそをフル回転させる俺の両腕を、二人の男の汗ばんだ手が掴んだ。