• テキストサイズ

踊り子【気象系BL】

第6章 Accident…


ニノの定期公演の最終日、俺は翔の立てた計画を実行するために、ニノを神社の祭りへと誘った。

思いの外祭り好きだったらしいニノは、自分のステージを終えると、俺のステージが終わるのを待って、浴衣を買いに行こうと言い出した。

俺は内心面倒臭いと思いながらも、ニノに付き合うことにした。

雅紀は勿論のこと、ニノには幸せになって欲しかったから…

ニノの母親は未婚のまま、ニノを産んだ。

当然家計は火の車で、幼いニノは望みもしない貧乏な生活を強いられてきた。

それでもニノはそれなりに幸せだった、って笑ったけど…

でもそんな生活も、母親が死んだことによって一変した。

母親以外に身寄りのなかったニノは、当然のように児童養護施設に送り込まれた。

そしてそこを出てからは、金のために売春を繰り返した結果、ストリップの世界に足を踏み入れた。

身体を売るよりは、オナニー目当ての野郎の前で裸になる方が、よっぽどマシだと考えたんだろうな…

「ねぇ、ボーっとしてないで、智も自分の選んだら?」

「はあ? 俺? 俺はいいよ、このままで…」

浴衣なんて、歩きにくいし、けっこう暑いし…、どうせ近所のちっぽけな祭りなんだから、Tシャツにハーフパンツで十分だと考えていた俺は、咄嗟にその場から逃げ出そうとした。

けど、ニノの思いの外強い握力に引っ張られ…

「あ、コレにしない? 俺が黄色で、智は青。良くない?」

「いいんじゃねぇか…」

結局ニノに押し切られるまま、浴衣を買う羽目になった。

しかも同じ柄の色違いを…

仕方ない、ニノの幸せのため。

そう思いながらも、これでまた翔の奴に笑われんだろうな、と思うと溜息が零れた。
/ 426ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp