第29章 Another dancer…【Extra edition】
耳元に唇を寄せ、
「一緒にイこうね?」
そう囁くと、ニノが朦朧とした意識の中でコクコクと頷いた。
そこからは、もう…
互いの口から零れる吐息と、繋がった部分から溢れる淫靡な水音、そして肌と肌がぶつかり合う音の中、俺達はお互いの身体を強く抱き締めあったまま最後の瞬間を迎えた。
それでも繋がったまmの身体を離したくなくて…
ニノの中から自身を抜き出すことなく、グッタリとしたニノの身体をベッドに横たえた。
「ニノ、ありがとうね…。俺今、超幸せだよ…」
「ふふ、俺もだよ…。雅紀さんとこうなれて、凄く幸せ…」
今にも意識を手放しそうなニノの髪を撫でてやると、上気して汗ばんだ顔に笑みが浮かんだ。
その時、部屋に設置されたインターホンからコール音が鳴り響いた。
「あ、時間…?」
時間のことなんてすっかり忘れていた俺は、ニノに言われて漸く”宿泊”ではなく”休憩”を選んだことを思い出した。
「そっか…、あっという間だね…」
「じゃあ俺、シャワー浴びてくる…」
俺の胸を押して、俺の下から抜け出そうとするニノ。
でも俺はそうさせまいと腰に腕を回すと、片手だけを伸ばして受話器を手に取った。
「予定変更、宿泊で!」
システムがどうなってんのかなんて分かんないし、本音を言えば財布の中身も気にはなったけど、それよりも今はニノとの時間を大事にしたい。
「いい…の…?」
「うん、だって俺がニノと離れたくないからさ…」
「俺も…まだ離れたくない…」
「それに俺、まだニノに渡したい物があるからさ…
「え、何…?」
首を傾げるニノの前に、枕の下に隠してあった小さな箱を取り出し、差し出した。
「受け取ってくれると嬉しいんだけど…」
「俺…に…?」
一瞬、ニノの目が大きく見開かれ、躊躇いがちに伸ばされた手が、俺の手から小さな箱を奪っていった。
「開けて良い…?」
「うん…」
俺が頷いたのを確認してから、ニノがゆっくりと箱にかかった黄色いリボンを解き始めた。
「ねぇ、これって…」
蓋をパカッと開けたニノが、驚きの声を上げた。
「駄目だよ、受け取れないよ…」
小さなリングを手に取ることもなく、ニノはすぐさま蓋を閉めた。