第29章 Another dancer…【Extra edition】
バスローブ越しに俺の中心を握ったニノの手が、ゆっくりと、でも確実に弱点を付きながら動き出す。
自分でするよりも、うんと気持ち良くて…、俺はついニノの与えてくれる快感に全てを委ねたくなる。
でも、
「た、ダメだ…!」
俺はニノの手を掴んで、その動きを封じた。
「どう…して…? こうしたかったんじゃないの? それとも…」
背中に感じていたニノの体温が、静かに離れて行く。
「やっぱり売春やってた男は嫌…とか?」
「違う、そうじゃない…。そうじゃないんだ…」
「じゃあどうして…?」
「理由なんてないよ…。ただ、さ…、俺初めてだし、ニノのこと傷つけてしまうんじゃないかって…」
ニノが大事だから、ニノのことが本気で好きだから、だから焦らずにゆっくり進もうって、そう決めたんだ。
なのに、
「初めてって…、相葉さん、童貞…なの…?」
ニノの一言で、俺の決心は簡単に砕け散った。
粉々の木っ端微塵にね(笑)
俺は振り返りざまにニノをベッドに押し倒すと、両手首を掴んでベッドに貼り付けた。
「相葉…さん…?」
一瞬、怯えた顔をするニノ。
怖がらせたいわけじゃない…ちょっとだけ(実は“かなり”だけど…)俺の闘争心?ってやつに火がついただけ。
「俺が童貞かどうか、確かめてみる?」
「え…?」
戸惑いを隠せずに、忙しなく視線を泳がせるニノの顎先を掴んで、薄い唇に自分のそれを重ねる。
舌先で唇の輪郭をなぞり、
「ん、ふっ…」
不意に開いた隙間に舌先を突き入れた。
ああもうダメだ…、止めらんないよ…
重ねるだけのキスとは違う、ニノの体温も、味も、それから匂いも…
ニノの全てを感じることが出来るキスは、俺をひたすら翻弄するばかりで…
「俺、男を抱くのは“初めて”だからさ、優しく出来ないかもしれないけど…、それでも良い?」
ニノを大切にしたい気持ちに変わりはない、でも俺にとっては未知の世界だから…
「うん、それでも良い…。だから俺を…相葉さんで満たして…?」
震えながら、それでもハッキリとした口調で言ったニノの目から、一筋の涙が零れた。