第29章 Another dancer…【Extra edition】
「本気…なの…? 本気で俺のこと…」
ニノの声が震える。
“愛してる”なんてさ、今まで冗談で言ったことあるけど、真剣に言ったのって始めてだから、恥ずかしくてニノの顔まともに見れないけど、でも多分ニノは泣いてんだろうな…
「うん、俺本気だよ? もし…さ、ニノが今は無理だって言うなら、俺はいつまでだって待つよ…」
本音を言えば、今すぐにでもニノを俺だけのものにしたい。
でもニノの気持ちが俺に向いてないのに抱いたって、そこに意味なんてない。
だったら俺は…、いつまで待てるか分かんないけど、またニノを困らせて、泣かしちゃうかもしんないけど、ニノが本気で俺に全てを預けても良いって思えるようになるまで待つ。
ニノのためなら、きっと難しいことじゃないだろうから…
「ごめんね、帰ろっか?」
いくら夏が近いとは言っても、川面を撫でて吹き上げてくる風はまだ冷たい。
俺は来た時と同じように、ニノの手を握り、歩を進めた。
けど、
「ニノ…?」
ニノはピクリとも動くことなく、それどころか俺の手を振り切ると、泣き腫らしたように赤くなった顔を、手の甲で乱暴に拭った。
「バカ…」
「え…っ…?」
「相葉さんのバカって言ってんの!」
「ちょ、ちょっと待って…? 俺、意味分かんない…」
俺、ニノにバカって言われなきゃいけないようなこと、言ったっけ?
「何で勝手に“待つ”とか言っちゃってんの?」
「だ、だってそれはニノのこと考えて…」
「だから、それがバカだって言ってんの! 俺の気持ちも聞かないでさ…、ホンットにバカ!」
いやいや、そんな何度もバカバカ言わなくたって…
「俺…、相葉さんなら…、相葉さんだったら、素直になってもいいのかな…って、そう思ったのに…」
「ねぇ、それって…?」
まさか…、そういう意味…なの?