第16章 To a new stage...
潤の家に、半ば監禁されたような生活を送るようになってから、何日が過ぎただろう…
景色こそ見えないけど、窓から差し込む光のおかげで、辛うじて朝と夜の区別は出来る。
でもそれだって最初の二、三日で、それを過ぎたら時間の感覚すらなくなってくる。
俺、何やってんだろ…
誰とも合わず、潤が運んでくる飯を食って、夜になれば声が枯れるまで啼かされて…
そしてまた朝を迎えて…
いつまでこんな生活が続くのか…
正直、虚しくて気が遠くなる瞬間がある。
それでも何とか自分を保っていられたのは、ダンスがあったから…
音楽なんて必要ない。
瞼を閉じれば、身体に染み込んだリズムが溢れ出して、自然とステップを踏んだ。
それこそ時間を忘れるくらい、ずっと…
そうして程よく汗を流した後は、倒れるようにベッドに身体を投げ出す…、それの繰り返し。
でもそれだけで…、ただ踊れるだけで俺は…
「また汗かいたまま寝たの? 風邪ひくよ?」
汗でしっとりと濡れたシャツを剝ぎ取りながら、潤が呆れたように言う。
まだ微睡から抜け出せずにいる俺は、されるががままに身を委ね、冷えた身体を外気に晒した。
「寒っ…」
エアコンから吹き出る風の冷たさに、身体を丸める。
「ほら、だから言ってるでしょ? おいで、温めて上げる…」
腕を捕まれ、引き起こされた身体が潤の胸に包まれる。
背中に回された手が丸めた背骨を辿り、下へと降りて行くと、擽ったいような、それでいて痺れるような感覚に、身体が震えた。
「あっ…」
思わず漏れた声が、不意に重ねられた潤の唇が飲み込み、突き入れられた舌先に、俺のなけなしの理性が奪われて行く。
ああ…、まただ…、また流される…
ごめん翔…
望みはしない潤とのセックスに、徐々に全ての思考が蕩けて行くのを感じながら、俺は何度も翔への謝罪の言葉を重ねた。
翔…、ごめんな…
流されることしか出来ない俺を、許して…