第14章 Separation…
俺が答えを出すために潤が与えた時間は、一週間…
でも実際には、答えを出すまでに一週間も必要なくて…
その日のうちに俺の心は決まっていた。
勿論迷いはあったし、何より翔のことを考えると、胸が押し潰されそうに苦しくて、痛くて、翔の顔を見るのも辛かった。
でもそれが潤を裏切り、全てを奪った俺への罰だと…、そう思って自分の気持ちにケリを着けた。
そうでもしなきゃ、泣いてしまいそうだったから…
翔の優しさに甘え、泣いて縋ってしまいそうだったから…
そんな資格、俺にはありはしないのに。
それに潤がどうしてニノのことを知っていたのか…、それがずっと頭の片隅に引っかかっていた。
ニノと俺初めて会ったのは、俺がストリップダンサーとしてステージに立つようになってから、暫くしてからのことで、当然それ以前に関わったことは一度もない。
潤は、ニノと全く無関係ではないと言った。
俺と潤の間に出来た、空白の数年の間に何があったのか…、それを確かめる必要があった。
俺は翔の元を去るまでの一週間、全精力をステージに注いだ。
身体が悲鳴を上げるくらい激しく舞い踊り、何一つ隠すことなく全てを客の前に曝け出した。
そうすることが、俺のせめてもの翔に対する償いでもあり、俺に生きる意味を与えてくれた感謝の表れでもあった。
そして公演が終わると、シャワーを浴びる時間さえ惜しんで家に帰り、翔のために料理をして、洗濯をして…、それから風呂の準備だって…
身体はクタクタで、今にも倒れる寸前まで疲れ切っていたのに、不思議とそれが苦ではなかった。
そして夜になれば、意識を無くして眠りに就くまで、翔を求めた。
翔のため…、翔に尽くすことで、俺は翔が与えてくれる愛に少しでも報いようとしていたのかもしれない。
それが逆に翔を苦しめていたことも知らずに…
別れが辛くなるって…、分かっていたのに…