第12章 Goodbye, and ...
それから数ヶ月後…
俺は錦織さんの元で本格的なダンスレッスンを受けるため、上京することを決めた。
母ちゃんも、勿論父ちゃんも、せめて高校を卒業するまで…、それが出来ないなら…、って俺に対して色んな交換条件を持ちかけたけど、俺が意思を曲げること一切なく…
加えて錦織さんの「転校先は手配する」の一言が援護射撃になったらしく…両親は渋々ではあったが俺の上京を許可してくれた。
尤も、俺は学校なんて行く気はなかったけど…
ダンスだけしていられれば、それだけで良かったから…
俺は後の手続きの全てを錦織に任せ、それまで通っていた学校に退学届けを出した。
両親に申し訳ない気持ちもなくはなかったが、全ては夢を叶えるため…
…なんて言えば聞こえは良いけど、実際はそんな大層なもんじゃない。
自分のダンスがプロとして通用するのか…、本当に錦織の言うように、プロの世界でやって行けるのかなんて、正直分からない。
でも、試してみたい…
俺なりに真剣に考えて、目一杯悩んだ末に出した答えだった。
それに潤とも…
あれ以来、顔を合わせれば話はするし、表面上は普通を装ってはいるけど、お互いどこか気まずさを隠せなくて、毎日のようにとっていた連絡も無くなり、潤とのトーク画面は、あの日最後に交わした会話で止まったままになっていた。
当然、夜の公園で練習を口実に会うこともなくなった。
後から人伝に聞いた話だと、潤はそれまで通っていたダンス教室も辞めたらしい。
つか、潤がダンス教室に通ってるなんて話…、俺聞いてなかった…というよりは、潤がそこまでダンスに対して真剣に向き合ってたなんて…俺はその時まで全然知らずにいた。
そこまでダンス対してに本気で取り組んでいたのに、どうして…
俺は上京する当日の朝、潤をあの場所に呼び出した。
そう、いつも二人で気の済むまで踊り明かした、あの公園に…