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踊り子【気象系BL】

第2章 Frustrating feeling…


結局智を病院に連れて行くのは諦めて、常備してあった薬を飲ませ、様子を見ることにした。

「支配人少し休んだら? 明日も朝からなんでしょ?」

智の額に、買ってきた冷却シートを貼りながら、何も出来ないでいる俺を振り返った。

「いや、午前中の公演は雅紀に任せたから、問題ない」

頼りになる部下を持つと、こういう時何かと役に立つってもんだ。

「それより、お前は? 明日もステージあんだろ? 智のことは俺が面倒見るから、お前は早く帰って休め」

呼び付けておいてなんだが、いくら専属のダンサーでないにしても、大事な商品に違いはない。

しかもうちのナンバーワンでもある智とは、人気実力共に勝るとも劣らないときたら尚のことだ。

コンディションの悪い商品をステージに上げるわけにはいかない。

「俺なら大丈夫ですよ。それにこの雨だし…」

「確かに…な…」

窓に打ち付ける雨は一向に止む気配など見せず、降り続けている。

流石にこの状況で追い返すのは酷か…

それにニノにまで風邪をひかれては、それこそステージに穴が空きかねない。

「分かった。今日は泊まってけ」

「マジで? 良かった、このまま帰っても智のことが気になって、絶対寝れないもん」

だろうな…

智の額の汗をタオルで拭いながら、ニノがホッと息を吐く。

そして、

「支配人、飯は? どうせまだ食べてないんでしょ? 俺、何か作りましょうか?」

思い出したように顔を上げると、タオルを俺に向かってポンと投げて寄越した。

「そう言えば…」

こんな時、家事が出来ないってのは全く不便なもんだ。

「悪い、頼むわ…」

ニノの申し出を有難く受けることにした。
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