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【進撃の巨人】愛を込めて花束を(R18)

第6章 別人なアイツに捕らわれた私


[美咲side]



見覚えがない宿の一室から私が出たのは、太陽がもう傾いてからだった。



リヴァイ兵長に浮かれていた昨日の気持ちは、遥か彼方に、飛んで行ってしまって、ジャンの顔ばかり浮かんでしまう。



夕陽はとても綺麗で、空はこんなにも澄んでいるのに、気分はどんよりとした、曇り空。



そろそろ兵舎に戻らないといけないのに、戻る気にもなれなくて。

でも帰る場所はそこしかなくて。



昨日、御飯を食べに出る事でお財布は持っていた……から。

出店でパンと飲み物だけ買って、近くの川沿い腰を下ろした。



何も覚えていないけど、あたたかかった夢の中。

自分の初めてが失くなってしまった。
という実感は全くないのに、股の間と下腹部はシクシクと痛い。



なんだってこんな事に……



だって、私が憧れているのは、リヴァイ兵長なわけで。

ジャンが好きな女の子は、ミカサなわけで。



あんまりロクな話しもしないまま、ジャンは出て行ってしまったから、私には訳が分からないまんま。



私は何でジャンなんかと……

そして、ジャンは何で私なんかと……



ぐる、ぐる、ぐる。

考えてみても、答えは出なくて。

溜息だけが増えていく。



溜息を吐くと、幸せが逃げる。って、聞くけど。

逃げるもなにも、溜息を吐く前に、不幸が降りかかってきてしまったら、どうすればいいんだ。



項垂れても、過去には戻らないのは分かってはいるけど。



パンを齧ると、ちょっとだけしょっぱく感じるのは、気のせい、だ。

喉が引き攣って、息がしにくいのも、気のせい。

ポタポタと、服にシミが出来ているのも、多分。気のせい。



せめて、ジャンの心の中に、私への気持ちがあったなら、まだ救いはあったのかも知れないけど。





私の初めては、

私も、相手も、全くお互いを見ていないまま、終わってしまった。





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