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【進撃の巨人】愛を込めて花束を(R18)

第19章 ※特別な休みはお前のせい?






向かう先は行き着けのパン屋。

美咲が美味しいと言っていた店。

別に今日一緒に過ごすわけじゃねぇのに、彼女と過ごした影を追っちまう俺は、周りから見たらどうなんだかな。



俺は小さく溜息を吐いて、店内に入った。



初めてきた時は驚いた。

大通りにあるわけではなく、目立つ外見をしているわけでもねぇつーのに、サンドやコロネなど、種類が豊富だ。

そう広くない店内には所狭しとパンのトレーが並んでいるが、雑然としているわけではない。

何となく、店主のこだわりが見える気がする。



俺は何故か自分の分と、美咲が好きだと褒めたパンを買い、店を出た。



瞬間。



目の前に、見覚えのあるシルエットを見つけて俺の心臓が跳ねる。



……美咲だ。



重そうな紙袋を両手に持ち、近くの木陰の元、茜色の空を見上げている。



って、見惚れている場合じゃねぇだろ。

俺は早くなっていく鼓動を抑え、足早に彼女に近付いた。



「どんだけ買ってんだよ。つーか一人か?珍しいな。」



そう言うのと同時に手を伸ばし、美咲の手から紙袋を一つ奪い取る。

突然声を掛けられたせいか、美咲の肩が大きく跳ねて、パッと音がしそうな程に振り返られた。



「ッ、え、ジ、ジャン?!」

「それ以外に誰に見えんだ。」



心底驚いている、そのことを全身で表現している美咲に、俺はフッと笑って答える。

その言い方が気に入らなかったのか、彼女は少ムッとしたような顔をした。



「何してんの?」

「荷物持ち。……つーのは冗談で、お前が前行きたいっつってたパン屋があそこにあんだよ。」

「あ……そっか。」

「お前こそ何してんだ?」

「あ、うん。モブリットさんにハンジ分隊長のご飯、頼まれちゃって。あの人達今忙しいでしょ?……それで、ジャンに教えて貰ったお店にハンジさん達の分も買いに来たの。」

「すげぇ種類あっただろ?経営者がホントにパン好きなんだなってくらい。」

「そーだね!間違いなく。」



くすくす笑う美咲は、職務の時より随分とラフな格好をしていた。



ゆったりとしたシャツに、ロングスカート。



ふと、休日仕様の美咲が笑みを止めて、俺に手を差し出してきた。



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