第19章 ※特別な休みはお前のせい?
[ジャンside]
壁の工事が完成し、早朝に民衆への御披露目が終わってからは各自、次の目標「ウォール・マリア奪還」まで、休息するようにとハンジ分隊長から伝えられた。
やる事もなくなっちまったし、最近の疲労が身体に来ていて、とにかく休みてぇ。
そんな想いからコニーや、最近調査兵に志願してきたマルロの誘いを断り、自室のベッドに横になっていたが、目を覚ました時はもう昼過ぎになっていた。
「あー……」
まだ布団に埋まっていたいと抵抗する身体を無理矢理動かし、ストレッチするように伸ばす。
酸素をたくさん取り込めば、 頭も回り出すだろう。
カーテン越し。
部屋に差し込む日差しが、眩しい。
天気はまずまずと言ってもいいくらいには良さそうだな。
大きく息を吐いて、俺はベッドからやっと抜け出した。
目が覚めてからは早かった。
兵団服の洗濯と、狭い自室の掃除。
やるべき事を終え、小さな達成感を覚えながら部屋を見渡す。
っつっても、質素な部屋だ。
まぁでも、これで明日からも快適に過ごせるだろう。
カーテンを開けると、既に外は夕陽に変わっていた。
起きてから食堂でパンをかじっただけだし、流石に腹が減っている。
「久々に街に何か買いに行く、か?」
ぽつり、呟いてから思案する。
コニーを誘ってもいいが、サシャやエレン、他の兵士まで呼ばれたら面倒だ……なんて考えていたら、ふと思いついた。
……そういや、美咲はどうしてんだ?
隣の宿舎に暮らす彼女の事を思い浮かべると、途端にもう、あの部屋で過ごす時間が恋しくなって来る。
だが。
今まで一度も、休日を共にした事は、ない。
思い返せば、美咲と過ごした事があるのは、仕事終わりのタイミングだけだ。
兵団の活動がない日って、
何してるんだろうな、あいつ。
「考えても、仕方ねぇか……。」
小さく呟いて、財布をポケットに突っ込んで部屋を出た。