第18章 嫉妬と混乱と攻撃のあの人
結局。
リヴァイ兵長は珍しく、ずっとワインを飲み続けて。
少しだけ目が座ったまま会計を済ませた後、「場所を移すか。」と言って、フラフラとした足取りでお店を出た。
「ちょ、リヴァイ兵長?!」
「何だ?」
「危ないですって!」
よろける彼の隣で、私は思わずその腕を掴んだ。
色気も何もない、ただの支えとして。
放っておいたらきっとこの人、壁に激突する。
そう確信したからだ。
でも、私の心配からの行動に、何故かリヴァイ兵長は薄く笑った。
嬉しそうに……。
「これはこれでいいが、こっちの方がいい。」
「えっ……」
言うが早いか、私の手を取り、ギュッと握る。
指先から感じる……
リヴァイ兵長の熱。
高い体温に、信じられないくらいドキドキする。
相手は酔っているんだと言い聞かせても、心臓だけは言う事を聞いてはくれないようだ。
綺麗だけど、男性特有の骨っぽい、ゴツゴツした感触。
あまり大きな方じゃないけど、私の手を包み込んでくれるくらいの丁度いい大きさ。
その全てに"男"を感じてどぎまぎしてきまう。
戸惑いを隠せない私に、とろんとした目のリヴァイ兵長が微笑む。
「手……小せぇな。」
そう言って、指先で私の手をなぞる。
変な反応をしてしまいそうになって、必死で耐えた。
平常心、平常心。
言い聞かせてはみても、それをどれだけ実行に出来ているかは分からない。
見上げたリヴァイ兵長から、一瞬だけ、獣の香りがした、気がした。
なんとかたどり着いたリヴァイ兵長の自室に彼を寝かせると、糸が切れた人形のようにベットに崩れ落ちた。
リヴァイ兵長が握っていた私のシャツも引っ張られて、被さるような形で密着している。
「……美咲、」
名前を呼ばれて、ドキドキと静まらない胸の早鐘を落ち着かせながらリヴァイ兵長を覗くと。
彼はもう、寝息を立てていた。
薄暗い部屋で、月明かりに照らされて綺麗なリヴァイ兵長の顔。
目に焼き付けておきたくて、少しだけ観察した後に、自室に戻った。