• テキストサイズ

【進撃の巨人】愛を込めて花束を(R18)

第16章 小さなシアワセ雨のせい?






こりゃ酷ぇ雨だ。



ハンジさんの書斎に向かう美咲とは途中で別れ、もう俺の部屋は目前に迫っていた。

昨日までとは違い、心はなんだか天気とは裏腹に、晴れやかなものに変わっている。



……朝の時間を一緒に過ごすっつーのも、いいな。



夜の時間の甘さとはまた違う、ホッとするような雰囲気。

じわじわと実感するような、何気ない幸せが、小さく積み上げられていくような。



あれがもし、日常になったら、どんな感じなんだろうか。



朝、目が覚めたら美咲がいて。

「おはよう」って言い合って、兵団の食堂ではなく、二人だけで一緒に飯食って。

同じ部屋にいながらも、違う行動で支度を済ませて。

「そろそろ行くぞ。」なんつって、二人で部屋を出る。



……想像してみると、顔が緩んでいくのを止められなかった。



そんな幸せな日常が叶えばいいのに、な。

そういう時間を、一緒に積み重ねていきたい。



堪え切れない笑みを必死に噛み殺して、自分の部屋に入る。

いつも通りの空気が流れる、同じ作りなのに全く違う、俺の部屋。

同じ配置のベッドと机だが、そこに温度は感じられない。



一気に、現実に引き戻された気分だ。



「……突っ走りすぎだ。」



想像だけで盛り上がれてしまう自分がおかしくて、小さく笑ってしまう。



まるでガキん頃に戻ったみたいだ。

ウォール・マリアの壁が破られて以来は現実を見て、冷めた子供にはなっちまったが、それでも自分の中に広がる想像の世界に、ワクワクしていた頃の事。



「……さて、準備するか。」



感傷的な自分を頭の隅に追いやり、新しいシャツを出した。



/ 250ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp