第16章 小さなシアワセ雨のせい?
[ジャンside]
翌朝。
まだ薄暗い時間に起きた俺は、美咲を起こさないようにベッドを出て、兵団共有の風呂場へと向かった。
自分の汚い独占欲。
それを洗い流すかのように、頭からお湯を被る。
外はまだ強い雨が降り続いていて、「今日の工事は昼からになりそうだな」とぼんやりと思った。
風呂から上がり、ついでに食堂に寄り、二人分のスープを持って再び美咲の部屋に戻ると、彼女はまだくったりと眠っていた。
いつもなら、朝日が昇るか昇らないかの時間に自分の部屋に戻っていたのに、またここに来てしまったのは、今日はまだもう少しだけ、美咲とこの部屋で一緒にいたい気分だったからだ。
熱いお湯を浴びた為、身体が火照って汗がこめかみ辺りを落ちていく。
シャツが汗まみれにならないうちに、取り敢えずは身体が冷えるまでハンガーにでも掛けておくか。
カタン。
ハンガーを取った音で、美咲がもぞもぞと動いた。
「……ん。」
「なんだよ、起きたのか。」
声をかけると、美咲はゆっくりと布団から出て、机にスープを用意している俺の姿を見て、口をパクパクと開ける。
「ちょっ……何その格好?!」
その言葉は、シャツを脱いでズボン1枚でいる俺に向けてだろうか。
そんな事をぬかしている美咲は、長めのロンTから、綺麗な足を惜しげもなく晒している。
あぁ。胸はまぁ、大きい方じゃねぇと思うけど、脚は格別なんだよな。
普段見る事ねぇから、余計に、かも知れねぇ。
ラインが整ってるっつーか、すらっとしてんのに肉感もあって、柔らかくて滑らかで。
……目のやり場に困る、なんて純情さは美咲との甘い夜の繰り返しで、とうに消えていて、またジワリと欲を刺激されるのを感じた。
「服っ!着なさいよバカ!」
「はぁ?今更だろ。……つーか、それを言うならお前もだ。」
「っ!」
ハッとした表情で自身の着ている物を確認し、美咲は袖を思い切り引っ張り、必死に脚を隠そうとする。
……が。
あ、ダメだ。限界。
「ぶはっ!隠れてねぇよ!」
「う、うるさい!」