第15章 ※隠したウソを暴くアイツ
[美咲side]
「何だよ。やけにご機嫌だな。」
「へ?」
休みが明けた、今日。
突然掛けられたジャンの言葉に、間抜けな声を出してしまう。
私が今いる場所は、トロスト区の壁の上。
ハンジさんの仕事がある程度落ち着き、他の104期のみんなと共に、エレンの硬化で作る壁の工事をしていた。
「顔、緩んでるぞ。何かあったのか?」
「え?べ、別になにもないよ?」
「ふーん……。」
目を細めたジャンから、不自然にならない程度のスピードで目を逸らす。
動揺を、見抜かれはしなかったか。
緊張で心臓が忙しなく騒ぐ。
周りに誰かがいるなら是非に、助けを求めたいところだが、変に何か事を起こした方が、多分ジャンには気付かれる。
努めて冷静を装っている私に、ジャンは言った。
「ま、後で聞くとするか。パンは飽きたし、街でライス系でも買ってくる。」
「え?……今日、来るの?」
思わず出た、拒否を匂わせる発言に、ジャンの顔が歪む。
せっかく整った顔してるのに、勿体無い。
……と一瞬思ったが、そんな事を気にしている場合ではない事を、瞬時に悟る。
この顔は、まずい。
「やっぱ、何かあったんだな?」
「ッ……何でもないって!」
「ま、どっちでもいいか。」
ニヤリ。
笑ったジャンが少しずつ近付き、私の肩に片手を乗せながら、耳元で囁いた。