第13章 私の誤解と憧れのあの人
フと、頭を包み込むような温もりが降りてきた。
「悪い。いじめすぎたな。」
その言葉で、私の頭に触れているのが、リヴァイ兵長の綺麗な手だと気付いた。
団長室でまじまじと見た、綺麗な手。
あれがいま、私の頭を緩やかに撫でている。
意識すると、急に顔が熱くなってくる。
明らかに赤面している事が、自分でも分かった。
「……子供扱い、ですか?」
つい、可愛げのない事を言ってしまう。
照れ隠しなんだけど、残念すぎる言葉だ。他に言いようあったのに。と思う。
でも、リヴァイ兵長は知らん顔で、予想もしていなかった言葉をくれた。
「……触りたくなっただけだ。」
「ッ……?!」
な、何……それ。
身体の芯が、熱い。
赤面どころじゃない。
身体中の血管が、沸騰しそうだ。
勝手に意識してしまっている事を、リヴァイ兵長に悟られたくなくて、顔を上げられなかった。
それをどう解釈したか、リヴァイ兵長は優しく頭を撫でるのを止めない。
しばらそれを楽しんでいたようだったが、突然、ハッとしたように、その手が離れた。
「……そこらの飢えたオヤジがやりそうで、気持ち悪かったか?」
「い、いえッ……!」
慌てて否定するが、まだ顔は上げられない。
自分でも、今どんな顔をしているのか、把握出来なかったからだ。
察してくれているのか分からないけど、リヴァイ兵長は先程頼んだライスを二人分に分けて「食え。」と、優しく言ってくれた。