第12章 ヒトリの夜は誰のせい?
はぁ。
大きく溜息を吐いて、パンを一口齧る。
そしてまた、溜息。
さっきっから溜息ばかりだ。
溜息を吐くと幸せが逃げる。とか言うなよ。
だったら俺の場合、猛ダッシュのミカサばりの速さで逃げられているって事か。
しかも、現在進行形で。
……って、何どうでもいい事ばっか考えちまってんだか。
ただ一人で飯を食う。
味気のないパンは、普段よりも更に味気なくて、一人で飯を食う事が、こんなにも寂しいとは、思いもしなかった。
一人の夜は長く、気温が冷え込んでいるように感じる。
自然と、心の中で、彼女を読んでいた。
なぁ、美咲。
お前今……
何してんだ?
ぼんやりと思い浮かんだのは彼女の笑顔。
こんな時に、何で。
と思いながらも、癒されて。
胸が押し潰されるように痛くなり、シャツの胸の部分を強く握り締める。
美咲……
お前がいないと、夜はこんなにも寒くなっちまうんだな。
自分から出たとは思えないほど女々しい思考に苦笑して、俺は手にしていたパンを頬張る。
側にいられる時間を期待していた分だけ、一人の夜は切なさを増していくかのようだった。