• テキストサイズ

【進撃の巨人】愛を込めて花束を(R18)

第10章 揺れた瞳はダレのせい?






日付が変わって、少しした頃。

おそらくは帰っているであろう時間に、俺は美咲の部屋のドアを、小さくノックした。



……が、出ない。



シン。と、静まりかえった廊下で。

思わず、舌打ちしそうになる。



せっかく準備したっつーのに、何やってんだ、コイツ。



そう思ってから、はた、と思い直す。



……俺が勝手にしているだけの事だってーのに、何考えてんだ。



押し付けがましい自分の思考に、溜息が溢れる。

こんな事やったら美咲が喜ぶか、なんて考えていた分だけ、落胆も大きい。



もう一度……

もう一度だけノックしてみよう。



それで出なかったら、諦めよう。



そう決めて、再びドアに手を掛けようとした、瞬間。



ゆっくりと扉が開いた。



「は……い、って、ジャン?!」

「おま、バカ。静かにしろ。」



驚いて声を上げた美咲の口元を、片手で塞ぐ。



戸惑いを隠せない彼女は、俺のもう一つの手にあるものを見て、更に怪訝な顔をした。



「……何?それ。」

「飯。どうせ食ってねぇんだろ?」



答えた俺は、そのまま部屋へと入る。

俺の行動が意外だったのか、美咲が「え、何、どうしたの?」と言って、付いてくる。



……ドアが開いて良かった。

もう、寝ちまってるのかと思った。



飯の乗った皿を、机に置いて、自分が浮かれている事に気付いて、ハッとした。



美咲の為に、何かをしてやりたかったんじゃ、ない。



それだけじゃない。



……俺がただ、“美咲に会いたかった”んだと、気付いたから。



/ 250ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp