第9章 思わぬ誘いと憧れのヒト
いつも、凛とした顔をしている、リヴァイ兵長。
そわそわとしているのを見るのは、初めて、で。
ようやく考えが纏まったのか、私をまっすぐと見た。
「……つまらなかったのかと、思って、焦っちまった。……くだらねぇ嫉妬だ。気にするな。」
そう言って、紅茶を一口のみ、視線を外される。
くだらない、嫉妬?
「ッ……?!」
……リヴァイ、兵長が?
嫉妬!?
そう認識した途端、私の頬にボッと火が付いたみたいに、赤みがさす。
ついさっきまで期待するなと自分に言い聞かせていたのに、そんな表現をされるとは。
まさかの事態に、今度は頭の中が、ぐるぐると混乱の渦を巻く。
すると、リヴァイ兵長はバツの悪そうな顔でお店の人を呼んで、お会計を始めた。
「……悪い。変な事を言っちまったな。」
その姿が、何故か、おかしくて。
思わず、失礼にも、吹き出してしまって。
何だろう。
リヴァイ兵長って、全然怖くないし、なんだか、普通に、男の……人、だな。
そんなこと言ったら、人類最強だと言われてるこの人に、失礼だと思う、けど。
「……何笑ってやがる。」
「……ど、うしてでしょう?……っふふ。すみません。」
謝りながら、お店を出た。
少しだけリヴァイ兵長が眉を寄せたのも、さっきより気にならなくて、リヴァイ兵長は軽く舌打ちしながら、私の手を引いてくれた。