第9章 思わぬ誘いと憧れのヒト
[美咲side]
あれから。
1週間が経って、私の生活は、変わった。
一変した、と言うほどの事ではないけど。
ただ、日常に“ジャンとの夜”が捻じ込まれただけ、だ。
一緒に、同じ御飯を食べることは変わらない。
たまに手ブラで来ることもあるから、私が用意するようになったり、逆にジャンが。
私があまりにも、兵舎から出ないもんだから、街へ出て配給以外のモノを差し入れして来てくれるようになった。
ジャンが買って来てくれる御飯は凄く美味しくて、どこのお店で買ったのか聞くと、微笑みながら「今度連れてく」なんて話もした。
何故だかジャンと一緒に過ごす夜は楽しくて。
どうやら、三年も共にした同期だからだと、気を許してしまったからなのかも知れない。
“友達”と言うに、最高のポジションを陣取ったジャンの隣は、何故か安心が出来た。
……身体の関係について。以外は。
彼はマイペースなのか、気まぐれなのか、される日は勿論あるし、でも逆に、何もしてこない日も、ある。
ジャンのスイッチが入ったら、なし崩しに押し倒されるし。
私が先にうとうとしたり、ジャンが眠そうにしたりの、睡眠欲が勝った場合は、特に何事もなく夜が明ける。
でも、ジャンが「するぞ」と言えば。
抵抗しつつも、100%の確率で、無駄に終わる。
例え「しよう」と言わなくても、そのまま私の手にさえ触れれば、抗いようのない波に飲まれてしまうんだから、どうしようもない。
ただ、どちらにせよジャンは、私を拘束して眠るのだけは欠かさなかった。