第2章 〜死神の仕事〜
ーー15年前ーー
劣悪なスラム環境に生まれ、信用できる者は誰もいない。
親は子を売り、友も女も平気で裏切る
正義とは汚職者がかざすモノ
薬とは廃人を作るためのモノ
そして人間とは…………ゴミのように死ぬために生まれたモノ
何も信じず育った彼が唯一、子供の頃から信頼できた真実は「殺せば人は死ぬ」
だから彼は殺し屋になる道を選んだ。
それは彼の天職だった。
力が強い者は知識で殺す。
頭が良い者は力と技で殺す。
両方とも強い者は人間的魅力で殺す。
彼を上回る才能が無くては彼から逃れる事はできない。
結果、彼は無敵だった。
どんな難しい依頼も引き受けた。
絶対不可能と思えるような厳重な警備をかいくぐって…超大国の大統領を自然死させた。
幹部将校を2ダース殺して…十年続いた内戦をたった一週間で終結させた。
かぞえて千人を殺す頃には「死神」が彼を飾る通り名になっていた。