第5章 〜命の力〜
あれから数時間ーーー。
彼女はまだ目を覚まさない。
おそらく、彼女の力は無限ではない。
自分の生命力と引き換えに、力を使っている。
傷が大きければ大きい程、力を使う。
予測するに、彼女の残された時間はあまり多くはないだろう…。
ならば、力を使わせてはいけない。
『私…。』
死神『目が覚めたかい?今、食事の用意をする。』
『それは私の仕事です!』
死神『いや、今日は私がしよう…。たまにはこのスキルも使っておかないとね。
一流シェフに化ける場合、腕がなまってしまってはいけないだろう?』
『あはは…。』
まぁは、死神の仕事に対して何も言わなかった。
ただ、死神が行く時に、いってらっしゃい!
何日も帰ってこない日もあるが、帰ってくると余程寂しかったのか、おかえりなさい!と言いながら、なかなか離してくれない。
そんな彼女を愛おしく感じるのに時間はかからなかった。