第1章 天才と英語の小テスト
放課後のホームルームが終わり、オレは帰り支度を始めた。
「よーし部活部活!」
赤坂が威勢よく席を立つ。
いや待てよ、お前、今日追試じゃないのか。
オレがそう告げると、赤坂はこの世の終わりみたいな顔をした。
「うわーっ、そうだった忘れてた…。あ〜あ、オレも伊豆みたいな天才に生まれたかったよ。そうしたら追試なんてないし、野球でもバリバリ活躍できるのに…」
そう言って、うなだれながら追試のための空き教室に向かって行った。
赤坂は根っからの野球好きだ。
あまり上手くはないので、試合ではベンチを暖めていることが多い。それでも決してめげたりせず、毎日毎日ひたむきに練習していた。
オレは赤坂のそういう所が凄いと思っている。
オレもそんな風に、何かに熱中してみたい。