第7章 天才と変化
どうしてこんなことをしているんだろう。
よくわからない。
ただ、抱きしめたいと思ってしまったし、抱きしめていると、すごく心地いい。
「桃浜…」
温かい。柔らかい。
ずっとこれを求めていたような気がする。
オレの手はジワジワと桃浜の体の上を移動した。
そうして、胸に触れた。
桃浜の体がピクリと揺れた気がした。
オレは桃浜の胸を両手で包み込んだ。
シャツの布と、あと多分ブラジャーっぽい感触。その向こうに、確かに桃浜の柔らかい肉を感じられた。
ぎゅむぎゅむと揉むと、やめられなくなってしまう。
いやしかし、ヤバいよな。オレは何をやってるんだ。ダメだろう。こんな急に、よくないぞ、こんなこと。
頭ではそう思うものの、病みつきになる感触に手を止められない。
桃浜がやめてと言ったら放そう。
そう決めてひとまず揉み続けた。
ぎゅむぎゅむ
ぎゅむぎゅむ
ぎゅむぎゅむ
…?
桃浜はホワイトボードに額をくっつけたまま、ずっと何も言わなかった。
「やめて」と言ってくれないと、「ダメ」と言ってくれないと、このままどこまでも続けてしまう。オレは少し怖くなって桃浜に問いかけた。
「桃浜…ダメじゃないのか…」
桃浜は顔を俯けて、オレに決して表情を見せないようにしながら、
「天才なら察して…」
そう言った。